桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

2023年7月5日 | 漢方薬

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

女性の一生は血とのお付き合い

東洋医学では、女性は7の倍数で体調に変わり目が訪れると考えられています。また、月経・妊娠・閉経・・と常に血と関わり合って生きています。漢方では、血・気・水がバランスを保って、滞りなく流れることが、正常な体を維持し、崩れると病気になると考えられています。このことについては、以前のブログ 自分に合う漢方を見つけられるために知っておきたいこと その② ~ 原因を探る手がかり「気()・血(けつ)・水(すい)」~をご覧ください。

この血の滞った状態(瘀血・おけつ)を改善させる漢方薬の代表の1つが、桂枝茯苓丸です。

生理などの女性特有の血の滞りトラブルをスッキリと解消してくれるだけでなく、桂枝(シナモン)と茯苓(菌核)が精神安定作用を発揮し、心にハリを持たせてくれます。

また、牡丹皮(ボタンの根の皮)や、桃仁(桃の種)は炎症やアレルギー症状を治めてくれます。また、生薬界のスーパースター芍薬(芍薬の根)は、炎症・アレルギーを抑えてくれたり、血管を広げたり、気分を落ち着かせてくれたり、他の生薬の効き目を上げてくれたり副作用を抑えてくれたり・・フル稼働の桂枝茯苓丸の重要な構成メンバーです。

プレ更年期・更年期の方はもちろん、月経に因んだトラブル(月経痛・PMS等)、もちろん男性の頭痛・肩こり・腰痛など巡りが滞っている状態にも効果があります。

1番のお勧めは丸剤

丸剤は、生薬を粉末にし、ハチミツなどで丸く固めた伝統的な製法です。

緩やかに体内で溶けて持続性があり、慢性病を徐々に直していくのに適しています。そしてそのまま飲めて、携帯にも便利です。

戦国時代の武士たちは、もともと印鑑入れのために作られた印籠の中に丸剤を入れて腰から下げていたとか。”この印籠が目に入らぬか”で有名な水戸黄門も、印籠の中は丸剤だったのかもしれませんね。

今現在、私たちが病院で保険でもらえる桂枝茯苓丸は、エキス剤といって、簡単にいうと生薬を煮出したものを水分を飛ばし顆粒や細粒にしたもの(顆粒と細粒の違いは粒の大きさの違いと思ってください)がほとんどです。効きめだけを考えると、煮出した液を飲むのが1番でしょう。ただ、コストと時間、手間がかかる。そして桂枝茯苓丸には丸剤の市販薬がある。(他の漢方薬は必ず丸剤が市販されているわけではありません。)それらを踏まえると、気軽に丸剤を毎日飲んだ方が、エキス剤より効きめがあり、煮出すより気軽に続けられるかと思います。

飲み方

1日3回、1回30錠

この量が基本となります。30錠!びっくりされるかもしれません。ただ、桂枝茯苓丸の丸剤の大きさは直径約5mmほど。錠剤を飲み込むのが苦手の方でも何回かに分けて飲めば簡単に飲み込めるかと思います。

症状が落ち着いてきたら、12回にして維持して行っても良いかと思います。

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