最近では、東洋医学の有用性、実用性が認められ実際の臨床の現場でも多く用いられるようになりました。
西洋医学は病名を確定し、その病気を局所的に治療していくのが基本です。なので病名が分からなかったり、分かってもまだ治療法が分かってないものに対してはなす術がなく、対症療法といって、原因解決ではなく出ている症状を和らげる治療をするしかありません。
一方、東洋医学は病名にとらわれず、症状や全身の状態をみて、何らかの治療法を導き出します。たとえば、”未病”といわれる、病気になる手前の、疲れが取れにくい、便が出にくい、風邪を弾きやすいといった体質的なものからくる気になる症状についても、健康回復や体質改善を目指した治療が可能です。
ただ、初期の癌や、心臓病、脳神経的な一刻を争う救急の症状がある場合は、西洋医学に基づいた医療の方が有効です。昨今の新型コロナ感染症においても、重症化した状態では東洋医学では太刀打ちできず、西洋医学で命を救っています。
両方の良いところを使えれば、より良い医療となることでしょう。例えば、生活習慣病と呼ばれる、高血圧、高血糖等は、いったん西洋の薬を使いながら、漢方薬を用いて体質改善を行い、生活習慣をも変えていっても良いでしょう。それができれば、西洋薬を増やさないばかりか、薬の減量、ひいては使わないで済むようになることもあります。
何が何でも東洋医学ではなく、お互いが得意なところを持ち寄って協力し合うことで、より優れた医療システムを作ることができる。私はそう思ってます。
西洋医療と東洋医療の違い
「図解 よくわかる東洋医学」 より
*漢方医学とは、東洋医学の1つです。同じく東洋医学の中国伝統医学が日本に渡り、日本人に合うように姿・形を変えた日本伝統の医学です。
参考図書
東洋医学の考え方、養生方法、漢方薬の考え方、使い方がとても易しく図と共に解説されています。東洋医学、漢方に興味のある方にお勧めの1冊です。