雨の日不調の救世主 〜茯苓沢瀉湯(ぶくりょうたくしゃくとう)〜

2024年6月30日 | 漢方薬

水分摂りすぎてませんか?

”水を1日2L以上飲むようにしましょう”
”熱中症にならないように小まめな水分補給を”
”天然ビタミンを取るために果物を積極的に取りましょう”

こう言ったスローガンに則って、水分取り過ぎてませんか?

 

平均的に人が体から1日に失う水の量は以下のように
2,200~2,800mL
と言われています。

失う水 (成人体重50Kg)

・呼吸での蒸発(不感蒸発):1,000mL(20mL/kg)
・尿:1,000~1,500mL
・便:200~300mL

 

そして、平均的に人が1日に摂る水の量は以下のように
2,200~3,300mL
と言われています。

入る水(1,400kg/日 程度の常識的な献立の場合)

・食事から:1,000~1,500mL
・飲み物,間食:1,000~1,500mL
・代謝過程で作られる代謝水:200~300mL

 

失う水は、加齢や季節、活動量によってかなり変動がありますが、
失う水の量より、入る水の量が上回ってしまうと、
体内で水がうまく巡らず滞り、様々な体の不調の原因となってしまいます。

漢方薬をうまく使う

茯苓沢瀉湯は、体内の水分調節がうまく行っていない患者さんからの様々な訴えに対して使う漢方薬です。

最近、このような症状で悩んでいませんか?

・吐き気
・食欲が出ない
・便秘や下痢などの胃腸症状
・頭痛や、頭が重かったり
・耳鳴り・めまい・眠れないなどの脳に関する症状

 

茯苓沢瀉湯は、このような症状の中でも、
特にめまいに対してうまく効くことが多い漢方薬です。

めまいの原因は

・瘀血(オケツ)と言われるような、漢方でいう血の巡りが良くない状態
・血虚(ケッキョ)と言われる血が不足した状態
・ストレス
・胃腸の弱り
・体に取り込まれた水分の巡りがうまくいかない

等々色々ありますが、
湿気が上がり、気温・気圧の変動が激しい梅雨の時期に起こるめまいの原因は、
まず水分の巡り、排出が悪くなっていることを疑い、
この茯苓沢瀉湯を使ってみるとうまく行くことが多いです。

 

このように漢方薬に頼ってみるのも良いですが、
まずは、自分が無意識に摂っている水分量に意識を向けてみましょう。
”自分を知る”から、全てが始まります。
摂取する水分量を調節して体の変化を見てみる。
自分の体の1番の理解者になる。
その為の第一歩です。

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